「この安い価格での契約は、今じゃないとダメです」
と言い張る、あやしい営業マンK君は帰った。
僕は 太陽光発電のパンフレットを見ながら考えていた。
■
(どうして「今」じゃないとダメなんだろう?)
冷静になってよく考えてみると、よくわからない。
営業マンK君が言うには、
・政府の補助金を得るには枠がある。
・枠がもうすぐ終わりそうである。
・枠から外れたら補助金はもらえない。
だから、補助金を含めた安い金額での契約は
「今」じゃないとダメだということだった。
もっともな理由である。
でも、その枠というのは、どのくらいの枠なんだろう?
本当にもう終わりそうなのだろうか?
■
次の日の朝、営業マンK君から電話がかかってきたので、
そのことを聞いてみた。
補助金の枠は、申請件数で決まるのではなく、
申請金額で決まっているそうである。
申請金額は、太陽光発電装置の規模によって変わるので
枠の終わりはハッキリとはわからない、ということだった。
「もう今日にも枠が終わってしまうかもしれません」
「だから急いでご決断ください」
■
なんとなく納得できたのだが、
補助金が無くなると どのくらい見積りが変わってしまうのだろう?
前回、営業マンK君が来たときに見積りを持って帰ってしまったので、
「昨日の見積りと、補助金の枠が外れた場合の見積りを出してください」
と言ってみた。
営業マンK君は その日の夜にやってきた。
見積りをもらったのだが、なんだかあやしい。
補助金が外れた場合の見積りが、50万円近く高いのである。
補助金はせいぜい、30万円くらいなのにナゼ?
そのことを聞くと、
「補助金を得たお客様限定のキャンペーン価格」だと言う。
■
ここで僕は思い始めた。
(おかしい・・・)
僕:「高い買い物だから、もう少し検討します。
今日、明日では決められません」
彼:「そうですか。では3日後に伺います」
僕:「3日後じゃ、もう枠が終わっちゃうんでしょ。
枠が終わった後のその高い見積りでは、絶対買えませんよ」
彼:「・・・。枠が終わると決まった訳ではありませんし、
終わったとしても、新たなキャンペーンを検討します。」
(なんだそりゃ?)
僕:「わかりました。
とりあえず、両方の見積りで検討させてください」
彼:「・・・。
いえ、見積りはこちらで再度検討して新たなものをお持ちします。」
(やっぱり見積りを渡さない。)
僕:「あの、再度検討って、それが最終の見積りでは無いんですか?」
彼:「・・・。
この業界は まだ新しいので、情報が刻々と変化します。
見積りは新たなものを作成してお持ちします。」
■
ここでハッキリわかってしまった。
この営業マンK君は、絶対に悪質な業者の営業マンだ。
悪質な業者のセールスに初めて出会ったので、少し感動してしまった。(^^;)
■
適当に話をして、営業マンK君を帰した。
次の日に電話をして、もう購入の意思はなくなったから、と伝えた。
それから何度か電話があったが、もう取り合わないようにした。
■
この1件で、住宅関連の業者には用心深くなった。
しかし、僕の太陽光発電への興味は大きくなっていた。
■
そして1ヶ月後、またもや 一人の営業マンが訪ねてきた。
スポンサーリンク
「4話 営業マンがやってきた(再)」へ 続く
|